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四国  2日目~小歩危~ 生と死の間で。。

『浅薄な己は幸運と境遇を信じ、思慮ある己は原因と結果を信ずる』  エマーソン

小歩危で事故。。
今回の内容をどう書こうか悩みました、同情を誘うものでも声を高らかにして話すようなものでもないからです。逆に情けない話だと思いましたが。。
ただ。。起こった事を書くことにしました。
ベテランの方、そうでない方もいろいろ感じる事はあると思います。
全ては自分の未熟さから起こした事であると感じましたし、これは悪い見本としてこの経験が皆さんに少しでも役立てられたらと思います。
 
2日目。東京からNariが久々に実家の徳島に帰って来て、しかも一緒に漕ぐのも久しぶり。
自分は今日で帰る。Nariは関西での知り合いはいないので小歩危を下るなら今日しかなかった。この日は自分の知り合いで小歩危を下る仲間がいなかったが、小歩危を下りたいと言う彼の気持ちも分かるし、2人で下る事にした。


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とにかく今日は無理せず、核心となる瀬はカヤックを降り、全てスカウティングを行う事にした。

11時過ぎにスタート。
天気は曇りだが何とか持ち直しそうだ。前日よりやや水量は多いもののそれほど変わらない。
昨日下った自分が前を行くようにした。

鉄橋の瀬も難なくクリアーし、森囲いの瀬へ。
艇を降り、岩場から瀬を観察。コースを確認して下り始めた。
自分が先に下る。手前の大岩でエディキャッチをし、そこから核心部へ。
一つ目の落ち込み。左にある岩の横を前日と同じように通過したはずだった。。
落ち込みを通過、岩横を通った時、返し波が思ったより大きくバランスを崩した。
沈する前に体制を何とか立て直そうとした記憶があるが。。。そこから次に目が覚めるまで
覚えていない。
側頭部を打撲、左頬を3センチ切り脳震盪を起こし意識不明になり、ひっくり返った状態で約1分半前後、溺水状態になりなんとかNariに助けられ命は助かりました。
瀬でバランスを崩して沈した時に岩で頭部を強打したらしい。沈直後から目が覚めるまでの記憶がないのです。前日は余裕で下れてから今から考えればその事の方が悔しい…
森囲いの瀬のまさかあんな所で。。

ここからはNariの証言から。。
彼は、自分の後に続き、大岩でエディキャッチをして私の様子を見ていた。
落ち込みで沈したのを見て、間を空けてからスタートしようとしてたのだろう。。
しかし、私の様子がおかしい事にすぐ気が付いた。ロールをしようとしないのだ。
彼はすぐ追いかけてくれた。流されている私を彼は追いながら見ていたが、水中で両腕が
ブラブラしているのが見えていたらしい。そのまま最後の落ち込みウェーブを過ぎる、その時一瞬顔が水面にでて『痛い!!』と叫んだらしい。。覚えていない。
その下の瀞場でバウを自分の艇にぶつけたが反応が無く彼はスプレーを外し、水中に飛び込んだ。自分の艇が流されて行くのも覚悟で。水中で私のスプレーを外し艇から引きずり出す。。この時の事は無我夢中で覚えていなかったらしい。。岩場に引き上げたが白目を向き、唇が真っ青(白)の私を見た彼はどれだけショックだった事だろう。。
私のライフジャケットから携帯を取り、救急に連絡を取り始めた時に私は目が覚めた。

夢を見ているようだった。目を開けて一声目が『ここはどこや。。?!』だったらしい。。
自分もそう言ったのは覚えている。意識不明だったから何が起こっていたか全く覚えていないのだ。左の頬を触るとパックリ割れていて血が出てた。その時点で何が起こったかやっと察しがついた。

消防はここまで来るのに2~30分かかると言っていたが、運よくラフトのツアーが下ってきた。消防が待つ小歩危駅下まで乗せてくれる事に。自分の艇も無事。Nariの艇も途中の瀞場で止っており無事回収が出来た。

そのまま用意されたタンカで救急車へ。そのまま徳島県立三好病院の救急病棟へ搬送された。


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先生に聞くとあと1分遅かったら…紙一重だったらしい。
脳のCT、肺のCTを撮った。
溺水と軽い脳挫傷。。肺にも水が入っておりをそのままICUで経過を見ることになった。。

検証。。
確かに一つ目の落ち込みで岩に当たる話は聞かない。ただ増水で岩は動くし、絶対に岩が無いなどと言う事はありえないのだ。そのあたりの油断は無かったか。。
ヘルメットは被っていたが、今流行のツバ付きは激しい流れの中ではツバが水を受けヘルメットが浮き上がりやすい。あご紐に遊びがあればヘルメットが少しでも浮き、その隙間に頭をぶつける事もありえる。今回、耳の上の側頭部をぶつけ、耳の裏側も切っていた。しっかり締めていたつもりだったが。。グレードの高い川では最近注目されてるGATHのような頭をしっかり保護できる物がいいのかもしれないと思った。。
2人で下ろうとした事。。今から考えればその判断も甘かったと思う。
いや、頭を打つ事無く、沈しただけで、済んでいれば、残りの瀬もクリアーしていたかも知れない。しかし、グレードの高い川では人数が少ないとリスクは高くなる。それまでうまく下れていたとしても安全面やリスクを優先すべきだった。
頭をぶつけたのは、川がそのあたりの甘さを指摘しようとしたのかも知れないとも思った。
最後に。。。防水携帯はかなり役に立ちました。防水でなくても普通の携帯を確実な防水バックに入れておくのもいいかもしれません。自分が、人が何かあった時に助けを呼ぶのに本当に有効だと感じました。


Nariには感謝しきれない。命の恩人だ。
自分は意識不明で正直、苦しさは無かったが、助ける側の彼のその時の心情を考えると、きつかったと思う。死ぬな!その思いが彼が艇を捨ててまで救助してくれた事に表れている。
また、入院中、叱咤激励、心配のメールなど送って下さった方々、お見舞いに来てくれた方々に本当に心から感謝します。ありがとうの言葉では尽くしきれない気持ちです。

当日、小歩危のもっと下流で家族3名のグループがダッキーで事故。
女性が一人亡くなった。。しかも自分が運ばれて間もなく同じ病院に運ばれていたらしい。
まさに明暗が分かれた形になってしまった。。亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
生かされた命を大切にしなくては。。

まだまだ未熟。。結果が全てだ。その後も小歩危を怪我無く、他のカヤッカーは下っているのだから。。 
原因とそこにいたる状況をしっかり受け止めて、これからに生かしたいと思った。。
入院中いろいろ考えていた。。

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minowarabi

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